円山動物園(札幌)

博物館

 すっかり旭山が有名になってしまって陰に隠れてしまった感はありますが、1951年に開園した由緒正しき円山動物園へ。ここの売りは… なんだろう?あまり知られてないかも、と思いながら動物園へ。

 札幌市内から動物園へは地下鉄で。「円山公園駅」というくらいだから、もう目の前が動物園だろう、思って地上へ上がると、どうも雰囲気が違う様。
 公園というよりも森の中にだんだんと進んでいって、さらに途中からは原生林?!とも思える様な立派な巨木が並ぶ間を縫う様に設えられた板張りの遊歩道を進むこと10分余。小山の(円山?)麓に広がる森らしく、私達が歩く遊歩道とは別に登山道らしき道をハイカー装備の人達が歩いていたり、本当にこれが動物園への道?と疑ってしまうほど。

#なるほど、あとで調べたら「円山原始林」という名前でした。

 そして無事森の中を抜けて(!)動物園へ到着。
 ここは丘の斜面を使って作られていて、入り口から奥に向かって緩やかに登っていく形で奥へと広がっていく構造。入ってすぐ左側にはこども動物園があり、そこから先には登っていくに従ってだんだん人気がありそうな動物がいるのかな?と思いながらのんびりと散策開始。

 この動物園の一押しは「ホッキョクグマ」。しかも10年近く前から繁殖に成功しているそうで、現在も生まれたてのコドモが母グマとともに公開されているとのこと。そして母子グマがいるのは、もちろん園の一番奥。

  園の略中央には立派なサル山があるので賑わっているのかなぁ、ったら工事中。少し離れたところにある大きな檻の中に収められており、なんとなく窮屈そうな感じ。
 他にも何箇所か空っぽの檻があって「○○の檻でしたが、建設中のアフリカゾーンにお引越しに備えてお休み中」という表示。どうやら、旭山に刺激を受けたから、というわけではないでしょうけれど、大掛かりなリニューアルの真っ最中らしいです。きっとただの檻ではなく、行動展示ができる様にいろいろな工夫を織り込むために頑張っているのでしょう。

 奥へ進んだ先にあって、大勢の客が集まっているのが「世界の熊館」。と言いながらホッキョクグマの母子しかいない様ですが、ちょうど元気にプールの中で遊んでいるらしく、それを眺める(人間の)親子で一杯。
 真っ白なヌイグルミそのもの、といった風情の熊がじゃれあう姿は、間違いなく誰の目から見ても「可愛い」の一言。子グマは(なぜか)水の中に浮かんでいるバケツやボールをプールの外に押し出そうと一所懸命になっていて、プールの淵に押し上げて成功しそうになると母グマが一々押し戻し、それに対してまた子グマが取り返そうとして格闘する姿が何度も何度も繰り返されるのですが、それをずっと眺めていて全然飽きない、なんとも不思議な空間、時間。特に望遠レンズをつけたカメラのファインダ越しに見える小熊の目は真剣そのもので、眺めている間にいつの間にか30分余。

 すっかり癒されてその場を離れると、その先には打って変わって「ドシン、ドシン」と騒がしい一角。

 こちらの主役は北海道の王者、ヒグマ。広場の隅に、壁の一面がアクリルになっていて水中を見通せる池が作られていて、ちょうどそこで中型のヒグマが遊んでいる真っ最中。池の中には漁で網を固定するのに使われている様な頑丈なブイが放り込んでおり、本人は(本熊は)遊んでいるのか、攻撃しているのか、ブイに飛びついては噛り付き、その勢いで跳ね飛ばされたブイをまた追っかけて齧り付く、の繰り返し。そのたびにアクリル壁に体当たりしてドシン、ドシン。凄まじい迫力。

 他のスペースに説明がありましたが、やはりなるべく行動展示に近づけるためにワザと筒の中に餌を入れて手を伸ばさせたり、またブイは細長い水抜き穴があるので熊が中に餌があるのでは?と思い込んでくれるのを利用するなど、いろいろ細かい工夫を凝らしているそうです。
 見世物にするために強制的に仕込むのではなく、動物の生態を正しく理解してそれをうまく利用することで、初めて動物に自然な行動をさせつつその自然な姿を客に見せられるわけで、飼育員の皆さんの腕の見せ所、といえるでしょう。

 そしてもう一箇所、人気者。レッサーパンダのスペース。比較的小さなスペースで展示されているため逆に間近で見ることができ、色の違いはあれど目の周りの隈取りなど「なるほど、これもパンダだ」と再認識。また囲いの中の立木から囲いの外の立木へワイヤーが張られ、気が向いたレッサーパンダが客の頭上を越えて歩き回れる様になっており、行動展示をしよう、という工夫を見ることができました。

 出口付近にはミニ遊園地。大型のビニールプールを使ったボート乗り場や高所作業車を使ったヘリコプターなど、狭いながらも知恵と工夫で少しでも幅広い世代に楽しんでもらおう、という姿勢が垣間見れた気がして、なんかいいな、と思いながら動物園を後にしました。

hisashi

hisashi

長年の間にあちこちの引き出しに少しずつ溜まったガラクタを ただただ、適当にひっくり返して並べてみました。

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