盆踊り(善光寺)

お出かけ

 日本の夏の風物詩、「夜祭」の賑わいを求めて「善光寺盆踊り」へ。提灯・灯篭に彩られた夜店がズラリと並び、びっくりするほど賑わっているに違いない、と確信して(思い込んで)向かったのですが…

 再び昼間一巡した善光寺へ。境内へ向かって表参道をノンビリ散歩。同じように歩く人達の中には浴衣姿もちらほら混じり、あぁ、お祭りだ、と自然に気分が盛り上がっていきます(でも、人出は思ったほど多くは無いなぁ)。

 さすがに宿坊街は静かな佇まいを保っていますが、仲見世はきっと夜店などが並び盛り上がっているのだろうな!と知らず々々のうちに足が早まりつつ先へ進むも、あれ?夜店が出ていないどころか大半のお土産屋さんは店を閉じてる…(お祭りとはいえ、微妙に権利や規制などしがらみがあるのかもね)
 それでも通りの先は(微妙に)賑わっている様子。あぁ、盆踊りは境内の中だけにエリアをちゃんと区切って実施しているんだな、と思ってさらに先へ進むと…

 結論から言うと、夜店が出ているのは「境内と仲見世の間の細い道」と、それと交差する「境内東側道路」の2つ、L字型のエリアに20軒ほどが並ぶのみ。もちろんその中には焼き鳥,焼きそば,トウモロコシ,ビール…という大人向けと射的,金魚すくい,綿あめ…という子供向けまで一通り揃ってそこそこ盛り上がっています。が、夜店があるのはこの通りだけ、境内の中には一切無し。

 普段から境内入口には大きく「NO FOOD/NO DRINK」の看板が掲げられており、盆踊りでもこれを守っている様。だから(と思いますが)ビール片手に楽しそうに歩く人影など、浮かれた雰囲気も境内の内側では一切無し。
 境内入口入ってすぐ右手に作られた「休憩所」は、ステージ上で(明らかに素人による)マジックショーや演奏会など、「大人の学芸会」状態。ここでは多少飲食OKの様ですが、でも「飲んで騒いで」は見当たりません。

 盆踊り会場へ行くと、さすがにまずまずの人出。でも先ほどの理由もあってか、皆櫓を遠巻きに囲んで静かに盆踊りが始まるのを待っている、という感じ。そして、いよいよ盆踊り開始の時間。

 開始を告げるアナウンスの後お経が始まる中、仏具「不滅の常燈明」を先頭に袈裟姿の一団と、続いて子供たちが本堂の方から入場。燈明と僧侶の方々は櫓の上に上がってそのまま読経を継続し、子供たちは順に櫓に上がって一人々々ご住職の前で…う~ん、なんて言うんだろう…キリスト教だったら「祝福をもらう」、神道だったら「お祓いしてもらう」って感じの行為に見えるけど…をしてもらう、という儀式が続きます。
 その後、ご住職が開会のご挨拶。それと同時に櫓の上から紙の様なものが周囲へ投げ撒かれ(節分だったら「豆」だろうし、建前だったら餅とお金なんだけど…)、それを観客が一斉に拾い集めて、「開会式」が終了(その後周囲のお坊様も配り始めたので記念にいただいてきましたが、蓮の葉を模った「紙」でした)。

 そして始まった盆踊りは、一般の人達も自由に加わって櫓のまわりを何重もの輪になって踊る中、よく見ると櫓の上でお手本として踊っている○○社中(みたいな人達)に混じってお坊様も一緒に踊っています。また周囲もお酒や祭りの雰囲気に酔って昂揚した雰囲気を見せるのではなく、静かに穏やかに踊りの輪を見守っています。
 自分が子供の頃に見た地元の盆踊りは、比較的ノリの良い音楽(東京音頭!とか)と軽快な太鼓の音に合わせて踊る人達も、またそれを周囲で冷やかし半分で眺める人達も、ともにお祭り独特の熱気に包まれてワイワイ、ガヤガヤ、というものだった様に思うのですが、ここ善光寺の盆踊りはまるで眞反対。比較的ゆったりした店舗の音楽にあわせて優雅に踊る人々と、その後ろにうっすらとライトアップされた本堂が浮かび上がる、幽玄は言い過ぎだけど、でも半分そっち側の世界かも、という様な空気が流れています。

 ツレと「期待していたものとは大違いだったね」と話しつつ境内を後にして、ふと振り返ると阿吽の仁王様たちも半分闇の中に浮かび上がる様にライトアップ。
 そういえば、今日はそもそも「夏祭り」ではなく「盆踊り」。本来はこういうものだったのだろうね、と会話を重ねつつ、「聖」の地、夜の善光寺を後にして、「世俗」に満ちた駅前飲み屋街へと戻っていきました。

hisashi

hisashi

長年の間にあちこちの引き出しに少しずつ溜まったガラクタを ただただ、適当にひっくり返して並べてみました。

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