宝徳寺(★★☆,桐生)

お出かけ

 前橋周辺で探した「紅葉スポット」の一つ、「宝徳寺」。幸運に恵まれて出会えた「床もみじ」は、自然の力を借りて人が生み出した最も美しい景色のうちの一つかもしれません。

 せっかく秋に前橋を訪れたので「紅葉」を、と思いwebを漁って見つけた「宝徳寺」。この季節にはライトアップも行うほどの場所らしいので、深く下調べもせず、とりあえず行ってみることに。
 10時開場にあわせてほぼ時間通りに到着したものの、駐車場は既に満車(まぁ、小さいから仕方が無いね)。臨時駐車場があるとのことなのでそちらへ向かうも、なかなかそれらしい場所に行きあたらず、間違えたかなぁ、と思ったところで臨時駐車場に到着。そこそこ広いにもかかわらず、ここも2/3以上埋まっており、これは結構な人気スポットなのかも、と今更ながら実感しつつ、シャトルバスでお寺へ移動。

 「紅葉スポット=広い森林を持つ大きなお寺」という(勝手な)想像に反してコンパクトな山門を抜けると庫裏前に人の列。ご朱印とは別の様だけど、何か史物でも展示しているのかな?紅葉を見に来たのだけど、まぁコチラも見てみるか、と軽い気持ちで後尾へ。
 どうやらこの行列は本堂へ続いている様で(正面ではなくわざわざ庫裏からまわるって、不思議)、廊下を進んでいくと「本堂内での撮影スポット」の説明板を持った案内人が登場。へぇ、と思ったけど行列の進み方が想定以上に早かった様で、「カメラを極力床に近づけて撮影してください」という注意だけを聞いて、そのまま本堂内へ。

 本堂内は一面ピカピカの床で覆われ、拝観者は全員その床をとりまく様に敷かれた畳に這いつくばってカメラやスマホでを構えています。一段は右手の畳部屋から裏庭を、もう一組はご本尊様の前に敷かれた細い畳の上から本堂前に広がる石庭を狙っている様。せっかくなのでど真ん中から、と思って辛抱強く順番待ち。可動式液晶モニタの利点を活かして畳のヘリ直付けで撮影した風景は…

 なんということでしょう!液晶モニタに現れたのは、窓外の紅葉がくっきり床に写りこんだ完全上下シンメトリの屏風絵。裏庭側は石山をバックにした紅葉が、そしてご本尊様側からはきれいに晴れ渡った青空をバックにした紅葉が、和建築ならではの優しい窓枠や障子とともに映り込み、まるで部屋の中に貼られた水面を眺めている様な錯覚に陥ります。
 メインはもちろん「自然美」ですが、建屋や庭の造作など人工物の緻密な設計と重なることで、自然と人の手が融合した美しい風景が産み出されています。

 これは「床もみじ」というもので、京都で何か所か、関東では数少ないうちの一つとのこと。特に晴天に恵まれたこともあって息をのむような美景に出会うことができたのですが、同時に一つの疑問が。
 これだけ美しい景色なので偶然ではなく狙って作られたのだと思うのですが、これを楽しむためには目線を本当に床スレスレまで下げる必要があります。様々な位置からそれぞれの映り込みを楽しむこともできますが、完全シンメトリの世界は床に這いつくばらないと見ることができず、でもその姿勢では景色を「楽しむ」ことは難しそう。
 もしかしたら最初は普通に床への映り込みを楽しむためのもので、完全シンメトリ自体はオマケの様なものだったのかもしれません。
 そういう意味でも、少しゆっくり座って目に入る風景を楽しみたいところではありましたが、当然の人気ぶりでゆっくり座って眺める様なスペースは一切無し(しかも、厳密な運用はされていませんでしたが原則5分間隔での入れ替え制でした)。

 本堂のまわりにもキレイに色づき始めた紅葉の林があり、その中に多数配された可愛くデフォルメされたお地蔵様も人気がある様ですが、やはりここ宝徳寺の目玉は間違いなく「床もみじ」。実はここを訪れるまではその存在を知らず、軽い気持ちで「紅葉が見られそう」と思って来たのですが、思いもがけない秋の風景に出合うことができ、とてもとてもラッキーでした。
 春夏にはまた緑が映える「床もみじ」(「床みどり」と称する処もあるそう)もまた美しいそうなので、季節を替えてまた訪れてみたいなぁ、と強く思いました。

hisashi

hisashi

長年の間にあちこちの引き出しに少しずつ溜まったガラクタを ただただ、適当にひっくり返して並べてみました。

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